食育授業

平成20年11月19日(水)

大阪市立玉川小学校

開催日 平成20年11月19日(水)
場所 大阪市立玉川小学校 家庭科教室
対象 大阪市立玉川小学校5年生(2クラス) 参加を希望されるご父兄の方
内容 日本料理と鰹節の良さを子供達に知ってもらうために京料理「たか木」包宰 高木一雄氏と大阪鰹節青年團いろり会による料理の基本である鰹節をたっぷり使った料理の体験学習を行いました。 ①昆布と鰹のダシの相乗効果を体験(プロの料理人の吸い物を試食) ②鰹節の勉強(製造方法・鰹節の仲間・和食との関係などの話と資料の配布・手削り体験) ③家庭でのダシの取り方を勉強(各テーブルでダシを取ってお浸しを作る) また、宿題用に花かつおを配布して各家庭で本物のダシを取る復習をしてもらう。

授業開始前に時間短縮のため各テーブルに必要な調味料の計量と材料の下ごしらえを行い、また各テーブルには調理器具をはじめ本節、削り器、情報宣伝委員会作成の食育資料等を準備し、黒板には本日のレシピを書き準備完了。

  授業が始まるといろり会から本日の授業の目的と注意点を子供達に伝えました。
  そして高木氏から昆布の説明や一番だし(吸物用のだし)と二番だし(吸物以外の一般的なだし)の取り方と用途の違いの説明を受けました。
  昆布のうま味成分(グルタミン酸)と鰹節のうま味成分(イノシン酸)を合わせることによって何倍ものうま味が出来ることやこのうま味が日本料理に欠かせない味になることの説明などがあり、各テーブルでまず昆布のダシの取り方を教えてダシ取りを開始しました。

  子供達は鍋に道南産の天然昆布を入れ、ゆっくり加熱して昆布ダシを出していきます。
  この間約30分ほどありますので、いろり会は鰹節の説明と本節の手削り体験を行いました。
   いろり会の講義では全鰹青情報宣伝委員会作成の資料『鰹節あれこれ』『鰹節の歴史』『鰹節のできるまで』と大阪鰹節類商工業協同組合の『日本伝統の味、かつお節』、全鰹青作成のあんぱんマンで子供達におなじみのやなせたかし氏作の全鰹青キャラクター
   カツオブシカツオ君、カツコちゃんの描かれているパンフレットを配布して話しました。

   内容は世界一堅い食品である鰹節(本枯れ節)の製造方法や産地の方々が長期間かけて鰹節の中にうま味を凝縮してくれているおかげで一瞬で本格的なダシが取れること、鰹節の仲間の節の紹介、料理の上にかける花かつお以外に鰹節類のダシはいろいろな料理に使用されていることなどを説明しました。
   そして。卓上の削り器での本枯れ節の削り方を教え、子供達は各テーブルで手削り体験。
   各テーブルにいろり会のスタッフが付き、正しい削り方を指導し、危険な削り方をしてるとすぐに注意できるように準備します。
   子供達は仲良く順番に交代しながら時々削り器の引き出しを開けて綺麗な花かつおが出来ていると「うぉー!」という歓声が各テーブルから聞こえてきます。その後削りたての花かつおを食べてもいいよと声をかけると再び各テーブルから「うぉー!おいしい!」という声が聞こえてきました。

   壇上では生徒達を集めて高木氏による一番だし(吸い物用)のだしの取り方の実演と試飲
   昆布だけで取ったダシを味見した後、子供達を前に集めて花かつおを豪快に鍋の中に放り込みすぐに火を止めて花かつおがゆっくり鍋に沈むとすぐに濾す一番だしの取り方を教え、黄金色に輝くダシの香りも感じてもらいました。
   そして、今度は昆布だしのうえに鰹節を入れたダシの試飲です。
   調味料の一切入っていない昆布と鰹節の旨みだけでどれほどの味がするのかはっきりわかってもらえたと思います。子供たちの口からあまりのおいしさに驚きの声が自然で出ていました。
    旨味成分グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果を実感してもらいました。
    この一番だしに塩、醤油を加えての吸い物のだしの作り方の説明。
    日本料理の料理人にとってダシ取りの大切さと考え方なども教えてくれました。
    季節によって塩と醤油の割合を変えるプロの技なども教わりました。

  各テーブルでも昆布だしができあがり、鍋から昆布を取り出します。
  次は、本節の花かつおを入れ、一煮立ちさせ、キッチンペーパーをひいたざるをボールの上に置き花かつおを濾します。(おひたし用だしの為、二番だしのとり方です。)
  できあがった二番だしを鍋に戻して塩、醤油、味醂を入れて八方だしを作ります。
  この八方だしを軽く塩茹でしておいた無農薬の小松菜の入った容器に注ぎ小松菜のお浸しを作ります。
  そして、吸い物に入れる他の具(玉子豆腐、しめじ、いんげん豆、柚子)を入れておきます。

壇上で高木氏が作った黄金色の吸い物のダシを各テーブルに具を入れて用意しておいた各自のお椀に注いで回りました。
  日本料理の椀物には動物性のたんぱく質と青物、香り付けの物が必ず入っていて今回は玉子豆腐、いんげん・しめじ、柚子の吸い物です
   この玉子豆腐も半分は鰹節の旨味がたっぷり入ったダシから出来ている説明もしていただきました。

次は先ほど八方だしに浸しておいた小松菜のおひたしを各自のお皿に取り分けてみんなで削った削りたての花かつおを掛けてお浸しは出来上がりです。

  みんなでお吸い物と小松菜のおひたしを食べました。
  子供達はこの授業に積極的に取り組んでくれました。
   いろいろなことに興味をもって花かつおの出し殻(だしがら)を食べて味が無くなっていることを感じたり、手削り体験で本節を削っている途中で削っている面がツルツルになっていることに気付き、頬にあててスベスベしたりと私達が考えつかない楽しみ方もしてました。
  素直に昆布とかつお節のダシの旨味を感じてもらえたり、鰹節削りを楽しんでもらえたり、残った本節を分けるために叩き割った本節の断面を見て本当にガラスのように堅いということを実感してもらえたり、何より和食にはかつお節は不可欠で意外に簡単に本格的なダシが取れることを知ってもらえたようです。
  子供達が今回勉強したことをこの場だけでなく家庭でも復習して御家族の方々にも体験していただくために本節の花かつおを持ち帰ってもらいました。
  最後に今回お世話になりました大阪市立玉川小学校のみなさん、この企画に興味をもって参加いただき、協力して下さったPTAの方々、教職員の皆様、そして高木一雄様ありがとうございました。